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2024/2 Vol.127

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特集 木材利用に関する展望

脱炭素・生物多様性を支えるための木造建築

窪崎 小巻〔前田建設工業(株)〕

建築は工学 木は農学

木造に取り組み始めた当初に問いかけられたこと

中大規模木造に取り組み始めたころ、ある大学の農学部の先生に「建築は工学でしょ?木は農学なんですよ。この意味わかりますか」といわれたことがある。その時は、「材料の性質が鉄やコンクリートは均一で計算通りの強度が出るが、木材は生物資源のため個体差があるから簡単じゃない」という意味だととらえていた。しかし、最近になって、どうもそんな単純な意味だけではなかったのではないか、と思うようになっている。

木造建築に取り組んでいると事業主などに木で建てることのメリットを説明して、木造をお勧めすることが多い。例えば、炭素貯蔵により脱炭素に効果的であることや、木を使うことが地域の産業を活かし地域活性化に有効である、木をあしらった空間が人の体に良い影響を与えるなどといったことだ。多くの人は、このような話に興味は持ってくれるのだが最終的には「でも、木造は鉄筋コンクリート造や鉄骨造といったほかの構造よりコストが高くなりますよね」と残念な結果を見ることが多い。とはいえ一方で、10年前とは明らかに世間の反応は変わってきているという実感もある。

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