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2024/2 Vol.127

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特集 木材利用に関する展望

木材の耐久性と木造建築を長く使うための技術

高橋 拡〔(株)竹中工務店〕

ビル建築と木材

環境視点での木材利用建物の増加

従来、戸建住宅・神社仏閣などを除き、木造や木材を多用したビル建築は少なかったが、筆者の記憶では1987年の建築基準法改正(準防火地域で木造3階建て建設可能)以降、「持続可能性/Sustainability」が提唱され始めた頃から、中大規模建築への木材活用や林業振興の機運があり、1992年セビリア万国博覧会・日本館の正面外壁全面にイロコ材の下見板張りが採用されていたことも印象深く(図1)(1)、1997年には木造としては世界最長スパン(長径178m)の大館樹海ドームが竣工している(2)(図2)

図1 セビリア万国博覧会・日本館
(“生なりの文化”を表現した白木の木造建築)(1)

図2 大館樹海ドーム

最近では、2021年10月に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、林野庁・木材利用促進本部において新しい国の基本方針が策定されている。同方針では、公共建築物について低層のものに限らず、コストや技術の面で困難な場合を除き、積極的に木造化を促進するとともに、公共建築物だけでなく民間建築物を含む建築物一般での木材利用を促進することとされ、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行された2010年以降、各種優遇制度などと合わせて民間でも採用数が増加傾向にある。令和3年度の林野庁試算では、公共建築物の木造率(床面積ベース)は公共建築物全体では13.2%、低層(3階建て以下)の公共建築物では29.4%となっている(3)

本稿では、これらの建物に使われている木材の建築材料としての耐久性と、よりよい状態で長く使うための技術について解説する。

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