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2024/1 Vol.127

表紙:本誌連載企画「絶滅危惧科目- 基盤技術維持のための再考-」のコンセプトに合わせてイラストレーター坂内拓氏とデザイン。本号は「蒸気エンジン」がモチーフ。

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会長挨拶

会長新年挨拶 機械工学者としての誇りを持って 現在そして未来の社会に貢献しよう

伊藤 宏幸(2023年度会長)

2023年度(第101期)会長 伊藤 宏幸〔ダイキン工業(株)〕

 

明けましておめでとうございます。

本年は、辰年ですが、大きな変化が起きることの多い年といわれているようです。60年前の1964年には、東海道新幹線が開通し、1988年の青函トンネル・瀬戸大橋の開業、2012年の東京スカイツリーの開業と、機械工学を含む多様な技術がエポックメイキングな人工物として結実した年でもあります。

さて、会長就任のご挨拶で、「会員一人ひとりの能動的な行動が実現しやすい環境を醸成するには、幅広くご意見を伺う機会が必須であると考えています。」と申し上げました。本年度は、定例の会長支部役員懇談会以外にも、支部やブロックの周年事業および講演会、複数の部門講演会、部門の企画による国際会議に参加させていただき、また、年次大会開催中にも、連日、支部長、理事・監事、部門長と懇談し、年度前半に挙げられた短・中・長期課題をレビューし解決策を議論してまいりました。対面での参画が一般的になったこともあり、フラットな雰囲気の中、より具体的な提案をスピード感を持って審議する機会も増えました。

また、「能動的な行動」については、まず隗より始めよということで、「会長が訊く」という記事を、不定期ですが会誌の巻頭に掲載しています。私自身が、技術者の一人として特別な関心を持っているトピックスについて、真っただ中で活躍されている方にインタビューをして、一人称で語っていただくことを趣旨としていますが、単なる情報収集に留まらない、本会会員であることの醍醐味の一例として捉えていただければ幸いです。

本号の「会長が訊く」は、宇宙ビジネス関連のお話ですが、2023年度「機械の日」記念講演で面識を得たところから関係が始まっています。インタビューに前後して、北海道宇宙サミット2023やSPACETIDE 2023 Year-Endに参加しましたが、本格的なSBIRの施行や「宇宙戦略基金」の創設などにより活況を呈しており、目の輝きが印象的な若手が数多く集合していました。また、昨年11月25日には、フィリピン機械学会(PSME)日本支部の発足式に招待され、基調講演の後、来日されたPSME会長とMoUを交換しました。続いて、午前中に宣誓を行った新会員が、認定式で会長から一人ひとり襟章をつけてもらうセレモニーを拝見していましたが、ここでも、人口はほぼ拮抗しているものの国民の平均年齢が日本の48.9歳に対してフィリピンの24.1歳という現実をダイレクトに反映した情熱が感じられました。

一方で、友好関係にある他学協会や諸団体との情報交流会や懇談会あるいは表彰式に出席する機会も多くあります。そこでは、本会の伝統や格式あるいは多様で開かれた活動に対して、ある種、敬仰の念を表される場合があり、また、社会的課題に対する共創プラットフォームの役割を期待する声もあります。

皆様におかれましては、本会のコンテクストに裏打ちされたブランド価値向上と会員の社会的地位向上のポジティブ・フィードバック・ループを今一度ご認識いただき、機械工学の存在と社会貢献に対する認知度が、龍の如く上昇する1年にしようではありませんか。

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