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2023/12 Vol.126

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特集 2024年問題:スマート物流のための技術革新

SIP「スマート物流サービス」の取組み

田中 従雅〔ヤマト運輸(株)〕・鍵野 聡〔(一社)フィジカルインターネットセンター〕

SIPスマート物流サービスとは(1)~(3)

スマート物流サービス開始の背景

「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」は内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が司令塔機能を発揮して、日本経済にとって重要なイノベーションを実現するため、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据えた取組みを推進するものである。スマート物流サービスはSIP第2期の12ある課題の一つとして、2018年4月にスタートした。

物流は日常生活になくてはならない重要な社会インフラだが、日本では他産業に比べて労働環境の改善が遅れていることもあり、労働力不足が深刻になっている。また、近年の電子商取引市場の拡大に加え、感染症対策に伴う急激なライフスタイルの変化によって、物流の少量多頻度化が加速し、荷物があるのに運び手がいない「物流クライシス」が顕在化しつつある。これに対し、日本企業も自社や業界内での物流生産性向上に尽力されているが、顕在化した問題の解決に手一杯の状態で、「個別最適」から「全体最適」に向け、日本全体でのパライダイムシフトが必要な局面を迎えている。

海外では、一部プラットフォーマーがインターネット領域だけではなく、自社リソースを使ってフィジカルなシェアリングサービスを展開する動きや、政府主導で街レベルでの自動運転などのインフラ整備が進められるなど、近年「フィジカルインターネット」と言われる「全体最適」を目指す動きが加速している。しかしながら、海外のこういった施策は日本が真似をできるものではなく、また、一部のプラットフォーマーや政府による全体システム化は、中長期的には持続性や柔軟性に欠けるのではないかと考える。

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