特集 機械状態監視資格認証事業20周年
訓練機関紹介(振動):旭化成エンジニアリング(株)
はじめに
当社は、日本でも早い時期(1970年代半ば)から、振動診断を中心とした設備診断技術の研究開発や現場への導入を図ってきており、診断システムの商品化にも積極的に取り組んできている。1988年には、診断技術の専門グループを立ち上げ、旭化成グループをはじめ、社外各社にも診断技術を提供している。
また当社では、状態監視保全(CBM)の現場への導入の支援のため、設備診断システムの提供のほか、設備診断技術者の育成のための振動診断研修にも早くから取り組んできており、その一環として、ISO18436-2に基づく機械状態監視診断技術者(振動)資格認証試験に向けた訓練機関として認証を受け、2004年度の第1回(認証試験6月実施)より訓練コースを開催した。
訓練コースの特長
当社は、2004年6月の第1回から2023年第1回(2023年6月認証試験)までの過去38回の訓練コースにてカテゴリⅠ~Ⅲ合計で約1,117名の訓練修了者を輩出し、高い合格率を維持している。
当社の訓練コースの特長としては、ユーザメンテナンスの立場で、資格取得のみでなく、現場で役立つ知識、技術の習得を目指しており、以下の点が特長として挙げられる。
(1) 前・後期制の余裕あるカリキュラム
当社では、前期3日間、後期3日間の2単位制分割講習とし、受験のための詰め込み講習ではなく、自習時間の確保と自習時に生じる疑問点の解消のための余裕あるカリキュラムとしている。具体的には、前期から後期の間に一定の期間を空けることとしており、この期間に受講生は前期コースの復習と後期コースの予習をし、後期の訓練コース期間中に疑問点を講師に質問し、講師が説明することとなる。
(2) 現場での診断経験豊富な講師陣
当社の講師は、外部講師ではなく、自ら現場にて実際に診断業務を実施している同社の経験豊富な診断技術者が担当しており、実際の現場での診断事例検討などにより、現場の事象に即した理解度アップを目指している。
また、診断器を用いた診断のデモンストレーションや実際の診断事例の講習により、測定技術者として現場で即、役立つ講習を目指している。
(3) Web型訓練コースの開催
当社は、コロナ渦での対応として、2021年度より、Zoomを使った訓練コースを開催している。訓練による移動時間の拘束や交通費の削減も図れることから、訓練者から好評を得ている。
今後のコロナ終息後においても、Web型実施の要望も多いことから、対面型とWeb型のハイブリットでの開催を予定している。
その他の振動診断研修について
ISO18436-2に基づく機械状態監視診断技術者(振動)資格認証のための訓練コース(図1)は、資格取得のための座学研修が主体となり、時間的に実習など実施に向けた時間の確保が難しい状態である。そのことで資格取得者がそのまま現場での測定技術者・診断技術者とならないという課題を指摘されている。
当社では、実習を主体とした振動診断研修を各社のニーズに合わせカリキュラムを作成し、個別に実施することでこの問題に対応している。
当社は、計測器メーカー系、設備メーカー系と異なり、実際にユーザとして日々現場で振動診断を実施している機械状態監視技術者が講師を務めている。この点から、講師は受講者と同じ診断技術者の仲間であり、訓練機関としての訓練コースの開催だけでなく、資格取得者の実際の現場における診断においても一緒に取り組む姿勢で対応している。
図1 ISO訓練コース風景
黒澤 義之
◎旭化成エンジニアリング(株) プラントC&M事業部
プラントライフ技術部 課長代理
キーワード:特集 機械状態監視資格認証事業20周年