特集 物理化学ナノ製造プロセスの最前線
触媒表面を基準面とした光学材料、半導体材料表面の超平滑化エッチング法
はじめに
ラッピングのような定盤を用いた砥粒加工においては、被加工物表面の凸部から選択的に除去加工が進行することで能率的に定盤の形状を転写することができるが、砥粒による機械的な加工によって表面の原子配列は乱れ、いわゆる加工変質層が残留する。一方、ウェットエッチングなどの化学反応を用いた加工法においては、加工変質層を形成することなく加工が進行するが、定盤に相当する基準面を有さないため、高能率な平坦化・平滑化は困難である。もし、化学的な加工法に機械的加工法のように基準面を与えることができれば、加工変質層を伴わない高能率な平坦化・平滑化が可能となる。そのような加工法として、触媒表面基準エッチング(Catalyst-referred Etching: CARE)法が2004年頃に大阪大学の山内和人教授らにより考案され、現在に至るまで同研究室を中心に研究開発が行われている。本稿では、CARE法の概要、種々の光学材料や半導体材料を加工した例などについて紹介し、今後の展望について述べ、まとめとしたい。
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