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2023/9 Vol.126

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技術ロードマップから見る2030年の社会

第9回 設計工学・システム分野

野間口 大(大阪大学)・木下 裕介(東京大学)・泉井 一浩(京都大学大学院)・細野 繁(東京工科大学)・古賀 毅(山口大学)

はじめに

本稿では、2016年に公開した「技術ロードマップから見る2030年の社会14.設計工学・システム」をレビューする。設計工学・システム部門ではロードマップの作成にあたり、ものづくりの競争力向上のためには高品質・低価格に加え高付加価値が鍵となること、それに向けては社会に存在する多様な価値への対応が求められること、価値を実現するための要素技術の高度化・複雑化への対応が必要であること、といった問題認識のもとで関連技術を取り上げ、それらの調和を通じて、社会と環境に配慮した設計による価値創造の加速が実現される未来像を描いていた。2023年以降においてもそうした問題認識と目指すべき方向は適切であると考えられる。一方で、技術面および社会的側面において、2016年時点での予想を超える進展も見られた。技術に関してその代表例として挙げられるのが、深層学習を含む人工知能(AI)、および、新型コロナウイルスのパンデミックを契機として加速したデジタルトランスフォーメーションである。社会においては、2015 年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)が各方面にインパクトを与えた。加えて、パリ協定の合意に基づく脱炭素化、欧州を中心に提唱されているサーキュラー・エコノミー(循環経済)に代表されるように、持続可能な社会・経済システムの構築が模索されている。

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