特集 電気自動車における機械屋の役割
電気自動車の要素技術
はじめに
地球規模の気候変動問題に対応するために、2015年のパリ協定を起点として、世界各国で温室効果ガスの排出量削減の取組みが活発化している。日本・米国・EUなどの主要国は概ね2050年までのカーボンニュートラル実現を目標に、国家施策として、クリーンエネルギーの導入拡大や産業構造の変革を進めている。本稿では、カーボンニュートラルに貢献する電動化対応商品を紹介する。
市場動向および当社の研究開発による対応
EV化における主要課題は、航続距離の延長であり、消費電力を抑制するため、各部品に対して小型・軽量化、低トルク化、高効率化の要求が高い。駆動装置全体の軽量化に伴い、ハウジングが薄肉化し、転がり軸受には、クリープ現象(負荷による外輪変形を起点に、ハウジングと軸受のはめあい面が少しずつずれる現象)の抑制が要求されている。
一方、バッテリや電動駆動ユニットのレイアウト制約やバッテリ積載量拡大のためのロングホイールベース化によって、車両最小回転半径が大きくなる傾向にある。その対応として、当社は等速ジョイント(CVJ:Constant-Velocity Joint)の高作動角化や後輪転舵機構の開発に取り組んでいる。さらに、安心安全や快適性を追求するため、当社はトライボロジー、軸受設計技術、メカトロニクスなどのコア技術を活かした電動化に対応するモジュール商品の開発にも取り組んでいる。
以下では、代表的な開発商品を紹介する。
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