特集 電気自動車における機械屋の役割
ロードパスを考慮した機械設計と材料複合化の活用
はじめに
電動化に伴う車体構造の見直し
過去も現在も、機械設計屋の仕事はその部品の目的に応じた機能目標を実現することである。自動車の機械設計屋はスタイリングやデザインを含めて機能を満足させるため設計レイアウトの確保から始まり、構造内に荷重をどの様に伝えるのかを示すロードパスの設定、材料と製品を選択、コストコンシャスな図面と製品を実現することである。
これまで内燃機関車を製造してきた自動車メーカーはそれら機械設計屋の仕事を長年ノウハウとして蓄積してきた。例えば車体の全体構造の考え方はほぼ定まっているので、部品構造の剛性や強度などの機能目標を継承し、材料選択と工法選択による形状決定に注力されてきたと考える。
近年の電気自動車においては、走行用バッテリーは車両のフロア下のスペースレイアウトを大きく占め、周辺の重量配分が大きく変わることから、機械設計屋としては、ボデーの周辺構造をシステム的に再考していく必要がある。
そこで本稿では、電気自動車の衝突部材に対するアプローチの異なるロードパスとして、断面内分散とした場合の適正材料の選択事例、または並列分散とした場合の鋼板とFRP(繊維強化樹脂)の接着積層設計による軽量化を図った検討事例について紹介する。
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