特集 電気自動車における機械屋の役割
電動車の車両諸元の特徴と運動性能を考える
はじめに
世界最初の自動車は蒸気機関を動力源としていた。その車両は、試走時に壁に衝突してこわれてしまった、という逸話もある。「走る」だけでなく、「曲がる」、「止まる」を含む運動性能を確保することが自動車の基本機能であることを物語っている(1)。それから1世紀以上が経過した19世紀末、ガソリンエンジンを動力源とする自動車が登場し、自動車は急速に普及していった。さらに1世紀余が過ぎた現在、再び動力源の変革が加速している。脱炭素社会に向けた電動化の進展である。その環境への寄与、普及のための課題、構成要素技術については、さまざまな場で活発な議論がされている。本稿では、自動車の誕生以来、変わることなく重視すべき基本機能である運動性能の視点から、電動車の車両諸元の特徴と、それらの運動特性への影響や着目点について述べる。
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