やさしい制御工学
第8回 状態空間表現:現代制御理論の基礎
1 状態空間表現
現代制御理論とは、システムの状態(=内部状態)を陽に扱う理論的枠組みである。この枠組みにおいては、システムの入力、出力、および状態の時間変化を下記のような形で表現する。
\[ \left\{ \begin{aligned} \dot{\boldsymbol{x}} &= \boldsymbol{f}(\boldsymbol{x},\boldsymbol{u}) \\ \boldsymbol{y} &= \boldsymbol{g}(\boldsymbol{x}) \end{aligned} \right.\] |
(1) |
ここで、$\boldsymbol{f}$および$\boldsymbol{g}$はベクトルからベクトルへの関数であり、$\boldsymbol{u}$、$\boldsymbol{x}$、および$\boldsymbol{y}$はそれぞれ入力ベクトル、状態ベクトル、および出力ベクトルと呼ばれる縦ベクトルである。式(1)をブロック線図で表すと図8.1のようになる。
図8.1 システムの状態方程式表現
式(1)の第1式は状態方程式とよばれ、そのシステムの状態が、どのような法則で時間変化するのかを表す1階の微分方程式である。状態方程式は、2階以上ではなく、必ず1階の微分方程式である。一方で式(1)の第2式は出力方程式とよばれ、そのシステムの状態が、どのような法則で外界に出力されるのかを表す方程式である。出力方程式は観測方程式と呼ばれこともある。また、状態方程式と出力方程式をペアにした形で「状態方程式」とよぶこともある。
キーワード:やさしい制御工学