日本機械学会サイト

目次に戻る

2023/6 Vol.126

バックナンバー

やさしい制御工学

第6回 古典制御における制御器設計

和田 信敬(広島大学大学院)

 


1 制御の目的

制御対象が

\[Y(s)=P(s)(U(s)+D(s))\] (1)

で与えられているものとする。ここで、$P(s)$は制御対象の伝達関数、$Y(s)=\mathcal{L}[y(t)]$は出力、$U(s)=\mathcal{L}[u(t)]$は入力、$D(s)=\mathcal{L}[d(t)]$は外乱とする。多くの制御問題では、以下の仕様を満たすように制御系を設計することが求められる。

  1. 制御対象が不安定である場合、安定化する。
  2. 出力$y$を目標信号$r$へ定常的に追従させる。
  3. 出力$y$が望ましい過渡応答を示す。
  4. 外乱$d$が出力$y$に及ぼす影響を抑制する。
  5. 制御対象の特性が変動した場合にも1~4が満たされる。

仕様1の安定性は、制御系が最低限満たすべき要件である。仕様2の目標信号$r$としては、制御目的に応じ、ステップ信号やランプ信号などが用いられる。仕様3の$y$に対する過渡応答の評価指標としては、目標信号がステップ信号である場合には、以下が用いられる。

  • オーバーシュート:最終値からの最大行き過ぎ量
  • 立ち上がり時間:最終値の10%から90%に到達するまでの時間
  • 整定時間:最終値の$\pm$5%以内に落ち着くまでの時間

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: