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2023/6 Vol.126

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特集 複雑な流れ現象 -機械工学の視点から-

“ 数理融合” による複雑流動と機能創発の活性化

仲田 資季(自然科学研究機構 核融合科学研究所)

はじめに

『かたち(幾何構造)×流動・ゆらぎ×機能創発』の問題

自然や社会に現れる複雑な流動や揺らぎ、輸送現象のメカニズムを解き明かし、それらを自在に操る。これは現代科学が導く究極の到達点のひとつであり、そこへ至る過程から多くの知見やイノベーションが創出されてきた。

なかでも乱流制御は流体理工学での長年の重要問題であり、流体と接する何らかの構造の“かたち”や最適な擾乱などによって、受動的あるいは能動的に流れや輸送などの機能を制御・促進する研究が進められてきた。流動と輸送のダイナミクスのさらなる解明が、それらに新たな可能性を与える。

本研究では、多くの複雑流動現象に現れる『かたち(幾何構造)×流動・ゆらぎ×機能創発』の問題に着目する(図1)。乱流や輸送の物理に数理・情報科学的手法を組み込んだ“数理融合”アプローチにより、幾何学的自由度を持つ外場や構造の中におかれた流動や揺らぎの非線形ダイナミクスから自発形成する秩序構造や、それらに付随するエネルギー・物質輸送などを自在に活性化するための理論・計算的手法の構築とメカニズムの解明を目指している。

本稿では、筆者がこれまで取り組んできた磁場閉じ込め核融合プラズマの流動と輸送現象をひとつの例として紹介したい。特に、非線形方程式を大規模な数値計算で解いた結果として得られるプラズマの流動や輸送のダイナミクスを、より少ない計算量で評価・予測するための縮約モデリングについて述べる。

図1 『かたち(幾何構造)×流動・ゆらぎ×機能創発』の問題

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