やさしい流体力学
第10回 損失とエネルギー授受のある管内流れ
前回は円管内の層流について流体の運動方程式を解いて速度分布を求め,流量と圧力損失の関係を導いた.
今回はより一般的に様々な管内流れを扱うために,エネルギー損失と外部とのエネルギー授受を考慮した準一次元解析を考えよう.
10.1 流管における流れのエネルギー保存式
第5回にて流線で囲まれた仮想的な管である流管を定義し,この流管における準一次元的な流れのエネルギー保存式を導いた.
$$E_1 + W – E_l = E_2 (10.1)$$
ここで $E_1$ と $E_2$ はそれぞれ流管における上流側の地点①と下流側の地点②での流体が持つ全エネルギー(運動エネルギー,圧力エネルギー,位置エネルギーの総和),$E_l$ は経路中のエネルギー損失,$W$ は仕事による流管外部とのエネルギー授受を表している.
第5回では $E_l=0$,$W=0$ の場合を考えたが,今回は $E_l \neq 0$,$W=0$の場合(エネルギー損失あり,外部とのエネルギー授受なし),および $E_l \neq 0$,$W \neq 0$の場合(エネルギー損失,外部とのエネルギー授受ともにあり)について考えよう.
図10-1 損失のある直円管内流れ
10.2 摩擦損失を考慮した直円管内流れ
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