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2022/9 Vol.125

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経済で読み解く機械産業

第9回 機械産業の経営者は経済の先行きをどのように見ているか


企業経営者は先行きの経済成長率、業界の需要見通し、設備投資等をどのように見ているのだろうか。内閣府は毎年1月に全国の上場企業の経営者に対して「企業行動に関するアンケート」調査を実施している。機械産業の経営者を中心について見ることにしよう。

経済成長率をどう見ているか

毎年1月に実施する年1回の内閣府の「企業行動に関するアンケ-ト調査」がある。内閣府が、今年の3月に発表した平成4年1月調査の「令和3年度企業行動に関するアンケ-ト調査」は、東京、名古屋の証券取引所第1部・2部上場企業を調査対象(2,710社)に調査を行った。回答企業は1,153社で回答率は42.6%。昭和50年代には回答率が70%を超えており、回答率の低下は顕著である。かつて企業は積極的に調査に協力していた訳で、これは、企業における統計調査の報告での環境悪化(バブル崩壊以降、景気の悪化に伴う企業収益の低下などから企業に余裕が消え、報告に対して積極性を欠くようになった) がその背景にある。

アンケ-ト内容は、実質経済成長率見通し、業界需要の実質成長率見通し、採算円レ-ト、設備投資の伸びの見通し、海外現地生産の割合、従業員の状況などの設問があり、毎年調査されるので、時系列として統計的に利用出来る(採算円レート、海外現地生産の割合は第11回でも取りあげる)。

令和3年度調査(2022年1月調査)によると、次年度(令和4年度)の実質経済成長率見通しは1.5%で、前年度調査よりも若干上昇している。今後3年間の実質経済成長率見通しは年平均1.1%で、景気に回復が見られたものの前年度調査の1.2%を下回った。同じく今後5年間の実質経済成長率見通しは年平均1.0%で、これも3年後の見通しと同様に前年度調査の1.1%を下回った(表1)

 

表1 実質経済成長率見通し(年平均伸び率、%)

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