特集 withコロナにおける新たな生活様式を支える技術
コロナ禍における遠隔医療(オンライン診療)
遠隔医療の変遷
我が国では、1970年代から遠隔医療の取り組みが始まり、1996年には、厚生労働省に遠隔医療研究班が組織された(1)。当時は画像伝送を中心とした取り組みが多く、研究班では「遠隔医療とは、映像を含む患者情報の伝送に基づいて遠隔地から診断、指示などの医療行為および医療に関連した行為」と定義された。その後、2005 年には日本遠隔医療学会が発足し2006年に「遠隔医療 (Telemedicine and Telecare)とは、通信技術を活用した健康増進、医療、介護に資する行為」と再定義。さらに、2011年に公表した「在宅患者への遠隔診療実施指針」では、「通信技術を活用して離れた地点間で行われる医療活動全体を意味する」と定義している。
遠隔医療の現状
2011年3月の東日本大震災により東北地方の沿岸部は壊滅的な打撃を受け、医療従事者の死亡、医療施設の損壊、診療記録の破損、流出など甚大な影響を受けたことを契機として、政府の方針は遠隔医療、電子カルテネットワークの推進に大幅に転換された。2010年5月、政府はどこでもMY病院(2)(HER:Electronic Health Record/PHR:Personal Health Record)(図1、2)とシームレスな地域連携医療(電子カルテネットワークEMR:Electronic Medical Record)の構想を掲げ、遠隔医療、在宅医療/介護、救急医療、予防医療への展開を強力に推進している。さらに震災地域においては、被災地域の医療復興をめざし、遠隔医療の導入が進められている。
図1 どこでもMY病院の概要
図2 どこでもMY病院のPHRシステム
患者さんは何処にいても自分自身の通信デバイス(YOD:Your Own Device)を利用して、医療・保健機関で電子カルテに医療従事者が記載した情報を閲覧可能となるシステム
遠隔医療と遠隔診療(オンライン診療)
キーワード:withコロナにおける新たな生活様式を支える技術