日本機械学会サイト

目次に戻る

2022/7 Vol.125

バックナンバー

特集 withコロナにおける新たな生活様式を支える技術

建設技能作業再現システムの開発~遠隔左官作業における性能や作業性を実証~

江沢 迪和〔(株)大林組〕

はじめに

建設現場において、各種建設機械を用いた作業は積極的に自動化が進められ生産効率は年々上がっている。しかし、ビルの内装工事など人が手作業で行ってきた部分の機械化は、数十年にわたりさまざまな取り組みが行われてきたが、事実上ほとんど開発が進んでいない。この手作業を機械化、自動化していくことが課題となる。

人の手による作業の自動化が進まない原因として、手(力触覚)に変わる技術がなかったことが考えられる。力触覚を実作業に導入した事例は少なく、建設作業に使う機械はいわゆる「硬い制御」による物がほとんどで、技能労働に必要な触覚を活用することができなかった。

この課題を解決するための手段として、「リアルハプティクス技術」の導入を計画した。リアルハプティクス技術とは「一対のロボットの位置情報および現実の物体や周辺環境との接触情報を双方向で伝達し、力触覚を再現する技術*1」である。人間が物体に触った際に感じる硬さや柔らかさ、風船のような弾力、自律的な動きなどの力触覚を伝送することで、遠隔にいる操作者の手元で同様の力触覚を再現できる。本技術を応用し力触覚を用いた技能をデータ化、再現することができれば、建設技能作業の自動化、生産性向上、および技能訓練の促進を図れる。また、本技術を遠隔操作に適用することで、直接触れている触感を伝送することができ、高度な操作が可能となる。そのため、作業員が行けないような危険場所や放射能に汚染された場所に適用することで、安全性の向上、採算性の向上を図ることが期待できる。

*1 一対のロボットはマスターロボット、スレーブロボットで構成され、作業員はマスターロボットを操作して、スレーブロボットを遠隔操作する。

開発の概要

技能作業の選定

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: