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2022/7 Vol.125

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特集 withコロナにおける新たな生活様式を支える技術

BodySharing: 固有感覚の伝達による体験共有

玉城 絵美(琉球大学、H2L, Inc.)

はじめに

人類は、印刷、スピーカやディスプレイ(テレビ)を通じて、視覚情報としてさまざまな人生の体験を共有してきた。筆者らの研究グループでは、体性感覚をも共有するBodySharing(1)を実現することで、臨場感溢れる体験共有を目指している。

BodySharingとは、「身体に付随する感覚の相互共有によって身体の体験を2人以上の複数の身体で共有して使うこと、あるいはその技術とインタフェース」のことである図1。ここでの“身体”とは、人、ロボット、バーチャルの身体も含んでいる。

身体の体験を共有するためには、身体同士で情報を相互に共有し合うために、ユーザの身体の感覚を取得し、さらにユーザに得られた感覚を再現する必要がある。

この身体の感覚は、体験を主体的に行うときに使用される位置覚、抵抗覚や重量覚などの「固有感覚」を指している。BodySharing では固有感覚を伝達することで、体験を共有している。

そのためには、固有感覚のセンシングとアクチュエーションの二つの技術が必要となる。本稿では、固有感覚のセンシングの研究成果PondusHand とその応用事例について紹介する。また、BodySharing による新たな生活様式、マルチスレッドライフスタイルについて言及する。

BodySharing(体験共有)のための固有感覚センシング

固有間隔

私たちが人生でさまざまな体験をするなかで、固有感覚(抵抗覚、重量覚や力の入れ具合)は、視聴覚で捉えることが難しい上に言語としても人に伝えるのが困難な感覚の情報である。筆者らの研究グループでは、日常生活での固有感覚をとらえるため、筋肉の変位(膨らみ、隆起や沈降)を検出する光学式筋変位センサとそのシステムを研究開発した。

物を扱う時の指先の力

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