特集 withコロナにおける新たな生活様式を支える技術
ニューノーマルな生活様式を支える神経刺激インタフェース
ニューノーマルな生活様式
ウィズ(ポスト)・コロナと呼ばれるニューノーマル時代の生活様式についての考察
新型コロナウイルス感染症の流行拡大が始まって2年が過ぎようとしている。一時的に小康状態にあったこの流行であるが、新株の登場によって再度流行が広がってきている。この感染症の流行拡大は生活様式を大きく変化させた。仕事や授業は対面からオンラインが推奨され、人の物理的な移動が制限(あるいは制限が推奨)された。このような社会において、ZoomやTeamsなどのビデオチャットアプリケーションが浸透し、誰もが簡単に使えるインフラ的なアプリケーションとなった。
今後の生活様式がどのような形態をとるのかは、いくつかの可能性があるだろう。シンプルに考えれば、このままオンラインを基本とした人の移動が最小限となる生活、元の対面を基本とした人の移動が自由な生活、これらの中間の生活などの三つのうちのいずれかになると考えられる。職業や居住地域によって、もちろんこれらの生活様式は異なってくるものと考えられるが、対面によるコミュニケーションのメリットとオンラインによるコミュニケーションによるメリットの双方が今回の生活様式の変化によって体験としてよくわかったのではないだろうか。対面式の自由は確保しつつ、オンラインのメリットを享受できる生活が理想の生活と筆者は考えている。このため、筆者の思い描くニューノーマルな生活様式とは、まさに前述の人の移動が自由な生活とオンラインを基本とした生活の中間に位置するものである。
また、この新型コロナウイルス感染症の流行拡大の中で、Facebook社は社名をMetaに変更し、メタバースと呼ばれるバーチャルな空間でコミュニケーションや生活を営むためのプラットフォームに力を入れていくという発表をした。メタバースという言葉は昨今の流行によって定義が錯綜しているが、原典はニール・スティーヴンスンの小説「スノウ・クラッシュ」である(1)(2)。今後はメタバースという言葉の使い方が洗練されていき、バーチャルリアリティ(VR)との違いもはっきりとしていくと思われるが、メタバースとは「ネットワークにつながれたバーチャルな空間においてさまざまな体験をしながらコミュニケーションや生活をするための技術などを含めた概念」と考えれば大きく外れてはいないだろう。今後の社会的な流行のシナリオにもよるが、メタバースを含めたオンラインでのさまざまなコミュニケーションは今後ある程度存在感を示していくだろう。
このような、オンラインでのコミュニケーションが積極的に活用される生活においては、そのコミュニケーションの質の向上が求められていくものと考えられる。また、このコミュニケーションが行われるのは、スペースの限られた個室の中だけでなく、移動をしながらのコミュニケーションや、ワーケーションと呼ばれるようにリゾート地や旅館など、さまざまなシチュエーションの中となっていくと考えられる。また、質の向上はビデオチャットアプリケーションの音質や画質向上、時間遅れの解消なども考えられるが、視聴覚にとどまらず、多感覚な情報提示による体験の提示と共有がその質を飛躍的に向上させると考えられる。
よって、さまざまなシチュエーションにおいて利用可能であり、コミュニケーションの質を向上させる多感覚提示技術が、来るニューノーマルな生活様式において求められる技術となっていくと考えられる。本稿ではこの要求に応えうる感覚提示技術である神経刺激インタフェースについて解説する。
神経刺激インタフェースとは
神経刺激インタフェースの概要
キーワード:withコロナにおける新たな生活様式を支える技術