経済で読み解く機械産業
第6回 民間設備投資の動きに連動する工作機械受注の内需
工作機械の受注の変動は産業機械の受注以上に大きい。内需も外需も変動が大きいが、工作機械の内需向け受注が民間設備投資の動きとどのような関連があるのかを産業機械受注の民需と同様に探ってみる。工作機械受注の内需も民間設備投資の動きと強い連動性があることが分かった。
設備投資循環と工作機械受注内需
工作機械の内需の受注については産業機械受注の民需と同様に、内需の受注の循環の山と谷の時期が民間設備投資の循環の山と谷の時期にほぼ連動している。工作機械はマザーマシン(機械を作る機械)であるため民間設備投資に先行すると言われることがあるが、これは正しくない。景気の谷では工作機械は設備過剰の状態にある。工作機械の受注は民間設備投資と同様、景気の谷からの回復では遅行性がある。
コロナ禍で大きく落ち込んだ受注の内需は2020年を底として今後2030年までの期間は投資循環(中期循環、ジュグラー・サイクル)の上昇局面に当たることから順調な伸びが期待でき、特に2020年代後半は投資循環の上昇局面の後半に当たることに加えて景気循環(短期循環、キッチン・サイクル)の上昇局面と二つの循環の波が重なり合うことから工作機械の内需の受注を強く押し上げると考えられる。設備投資循環においては山に近い後半の方が前半よりも設備投資の勢いが通常では強い。
キーワード:経済で読み解く機械産業