特集 IT技術・自動運転技術が担う交通安全
協調型ITSの現状と将来動向
はじめに
日本におけるITSの歴史と概要
昨今の自動車業界は100年に一度の変革期と言われ、特にCASEと呼ばれる取り組みが、その変革の中核を成すとされている。CASEはそれぞれConnected, Autonomous, Shared & Services, Electricの頭文字であり、Connected に関わる取り組みの一つにITSがある。
ITSはIntelligent Transport Systems(高度道路交通システム)の略であり、道路交通におけるITSは、情報通信や制御技術を使うことで事故や渋滞といった交通課題を解決するサービス・システムの総称である。また、ITSの特徴はクルマ単体のみでなく、公的な規格や法制度の整備・交通インフラの配備などを前提とした関係省庁との調整と政策への反映が必要な、人・クルマ・社会インフラが三位一体となった活動である(図1)。
日本においてITSが本格的にスタートしたのは1996年に導入されたVICS(1)(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)からであり、2021年11月現在でVICS車載機は7,300万台以上出荷されている。また、ETC(2)(Electronic Toll Collection System:電子料金収受システム)は2001年より本格運用が開始され、2021年11月現在のセットアップ台数は10,700万台以上となっている。
広く知られるVICS、ETC以外にも、多くのITSサービスが実用化され提供されている(図2)。ITSのトレンドを見ると、渋滞緩和・交通流円滑化から始まり、近年は事故低減に寄与するサービスにも運用されている、以下に代表的サービスを示す。
UTMS(Universal Traffic Management Systems:新交通管理システム)
キーワード:IT技術・自動運転技術が担う交通安全