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2022/2 Vol.125

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特集 鉄鋼業におけるモノづくり

還元鉄製造プロセス カーボンニュートラルへ向けて

杉立 宏志〔(株)神戸製鋼所〕

はじめに

還元鉄製造プロセスは、高炉のように大規模な設備投資やコークスも必要としないため、天然ガスを産出する地域を中心に製鉄所の鉄源プラントとして建設されてきた。

また近年、電気炉による粗鋼生産の拡大に伴いスクラップを補完する清浄鉄源としての還元鉄需要が高まっており、さらに輸送性・保存性を改善するHBI技術の開発により海上輸送が可能となり、世界的なマーケットで取扱われている。

今後は鉄鋼業のCO2削減、さらにはカーボンニュートラルに向けて、還元鉄製造プロセスは大きな期待を集めている。

還元鉄とは

還元鉄(DRI:Direct Reduced Iron)は、鉄鉱石ペレットや塊鉱石を固体状態で、化学的に鉄分と結合した酸素を除去した鉄鋼原料である。

還元鉄には常温還元鉄(Cold DRI、以下CDRI)、熱間還元鉄(Hot DRI、以下HDRI)、およびホットブリケットアイアン(Hot Briquetted Iron、以下HBIという)があり(図1)、これらは電気炉、高炉、転炉での使用に好ましい物理・化学性状を有している。

1 還元鉄の特徴とその用途

 

初期に建設された還元鉄製造プラントでは、還元後にほぼ常温まで冷却されたCDRIを製造し、隣接する製鋼工場の電気炉で使用された。還元鉄の使用が広まるにつれ、新たに二つの還元鉄の形態であるHDRIとHBIが開発・商品化された。

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