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2022/2 Vol.125

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特集 鉄鋼業におけるモノづくり

鉄鋼業における計測制御技術

梅村 純〔日本製鉄(株)

はじめに

狙い通りに商品が製造されているかを常に確認し、違いがあればそれをなくすように設備を動かす、これはモノづくりの普遍的なニーズであり、そこには計測制御技術が必須である。これまで計測技術と制御技術が両輪となって発展し、対象の拡大や精度の向上などを成し遂げてきた。

従来の物理法則や現象に立脚したアプローチに加え、近年は蓄積したデータからモデルを構築し有用な結果を導出するアプローチの発展が著しく、その実用化が進んでいる。この背景には、大量のデータをハンドリングできる通信やストレージの技術、大量の計算を高速に実行できる計算機、クラウドなど計算リソースの調達手段の発展もある。計測・制御技術はこのようなICT技術の進歩を最も活用している分野のひとつと言える。

本稿では鉄鋼業における計測・制御技術の最近の取り組みについて事例を交えて紹介する。

鉄鋼プロセスの特徴と計測制御技術の位置づけ

図1に概要を示すように、鉄鋼プロセスは高炉という巨大な還元反応設備から始まり、精錬、鋳造、圧延、焼鈍/メッキの各工程を経てさまざまな製品を造り込んでいく。高温の液体である銑鉄、炭素などの微量な成分を調整しリンなどの不純物を除去した溶鋼、それを冷却して固体であるスラブなどの半製品が作られる。スラブは圧延されて薄いコイルとなり、焼鈍やメッキを経て最終製品に至る。

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