エキスパートの知恵と経験
第12回 ブルドーザ式対人地雷除去機の開発
技術開発の経験を語る
開発の背景・目的
20世紀、世界の紛争地域でさまざまな対人地雷が多用され、取り残された地雷は多い。しかしこの地雷の除去は依然人手によるものが主で大変危険な上、莫大な時間を要し復興の大きな障害となっている。機械化による安全確保そして効率の向上が強く求められさまざまな形式が模索されているのが現状である。2002年8月に我が国の輸出貿易管理令の運用が見直され、対人地雷除去機は非該当扱いとなった(武器から除外)。また経済産業省・NEDO(新エネルギー産業機構)による対人地雷除去機開発プロジェクトが公募されるに至り、他の重機メーカー共々参加を決定、ここにブルドーザ式対人地雷除去機開発を開始した(1)。
ブルド−ザ式対人地雷除去機開発の概要
対人地雷除去機は、小型機では耐久性や除去能力に問題があり、大型機は輸送性や小回りが利かない上対戦車地雷も処理可能となるので我が国の法律に抵触する(武器となる)などの問題があった。当初同機に求められたのは、アフガニスタンの様な山岳傾斜地をも含む比較的開豁な埋設地の多い国土を広く効率よく処理でき、どの様な土地条件でも走破性・安定性に優れ、構造物が強固であることなどであった。これらにはベースマシンとしてブルドーザが最適で、かつ自社の技術が最大に生かせると考え、自社中型機であるD85EX-15ブルドーザ(対人地雷除去機化時の最終車体質量35t)を選定した。
キーワード:エキスパートの知恵と経験
機構模型
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)
歯車を用いた往復運動
年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/H250, W400, D300(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ二一〇」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]