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2021/12 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

歯車を用いた往復運動

年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/H250, W400, D300(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ二一〇」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

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やさしい機械力学

第12回(最終回) 回転機械の力学

1. はじめに

本稿では,回転部分を有する機械の力学について説明する.

2. 不釣り合い力と釣り合わせ

軸受で支持された回転体(ロータと呼ばれる)の回転軸の中心と重心は,加工・組立誤差のため一般には一致しない.一例として,図12.1に示す軸の弾性変形が無視できるロータ(剛性ロータと呼ばれる)の回転軸の中心$S$が軸受中心$O$に一致するように支持され,一定の角速度$\Omega$で$z$軸回りに回転している場合を考える.軸受に固定された静止座標系を$O-xyz$とし,ロータに固定され$z$軸回りに角速度$\Omega$で回転する回転座標系$O-x\prime\ y\prime\ z$を$t=0$において$x$軸と$x\prime$軸が一致するように定義すると,$x$軸と$x\prime$軸のなす角は$\Omega t$となる.そしてロータの回転軸の中心$S$から重心$G$までの距離$\bar{SG}$(重心の偏りである偏心ベクトルの大きさ)を$\varepsilon$とし,$SG$と$x\prime$軸とのなす角(偏心ベクトルの向き)を$\gamma$とする.静止座標系で表したロータの重心を$G\left(x_G,\ y_G\right)$とすると,$\ SG$と$x$軸のなす角は$\Omega t+\gamma$であるから以下の関係が得られる.

$$x_G=\varepsilon\cos{\left(\Omega t+\gamma\right)},\ y_G=\varepsilon\sin{\left(\Omega t+\gamma\right)}     (1)$$

ロータから軸受に作用する力の$x$および$y$方向成分をそれぞれ$f_{Bx}$および$f_{By}$とすると,軸受からロータに作用する力はそれぞれ$-f_{Bx}$および$-f_{By}$となる.そこで質量$M$のロータについてダランベールの原理に基づき$x$および$y$方向の力の釣り合いを考えることにより,以下の関係が得られる.

$$-M{\ddot{x}}_G-f_{Bx}=0     (2)$$

$$-M{\ddot{y}}_G-f_{By}=0     (3)$$

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