特集 大型機械構造物の安全化の過去・現在・将来
クレーン等の構造部分に使用される材料の現状
緒言
日本国内では、強制規格であるクレーン構造規格などに基づいて、クレーン等を設計および製造しなければならない。また、クレーン等の構造部分には、各構造規格の第1条に定められている以外の材料は使用できない。
構造規格では、「日本産業規格(以下「JIS」という)に適合した鋼材又はこれらと同等以上の化学成分及び機械的性質を有する鋼材でなければならない」と規定されているが、「厚生労働省労働基準局長が認めた場合には、この限りでない」とのただし書きが付け加えられている。
申請された材料の採否を決めるにあたり、労働基準局より日本クレーン協会(以下「協会」という)に問い合わせがあり、参考意見が求められることがある。
そこで本稿では、クレーン等の構造部分に使用される材料に関して、関連する規格類および採否を検討する上での問題点を示し、協会としての取り組みについて紹介する。
クレーン等の分類
クレーン等とは、クレーン、移動式クレーン、エレベーターおよびゴンドラの総称であり、労働安全衛生法施行令により、表1のように分類されている。
これ以降は、移動式クレーン(図1)を例として取り上げ、具体的に話を進めることとする。
材料に関する構造規格
移動式クレーンの構造部分
キーワード:大型機械構造物の安全化の過去・現在・将来
機構模型
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)
歯車を用いた往復運動
年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/H250, W400, D300(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ二一〇」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]