特集 機械と繊維の新しい関係
衣服設計の仮想化と衣環境の推定
はじめに
衣服の美しさや着心地は型紙の形状により大きく左右される。従来の衣服設計においては、型紙を基に仮縫い・試着・修正を繰り返すことで、身体への適合性が高く、着心地の良い衣服が作られてきたが、この工程は時間とコストを要することから、近年では衣服設計の仮想化が試みられている。
また、着心地は衣環境と呼ばれる衣服と皮膚の間の空間における力学的・温熱的状態と深く関係していることが知られており、そのため従来は衣環境の計測や官能検査により評価されてきた。それらに加え近年ではシミュレーションによる衣環境の推定も試みられている。
本稿では、筆者らが取り組んでいるVR技術を応用した衣服設計の仮想化と、衣環境の一つである衣服圧をシミュレーションにより推定した研究事例について紹介する。
衣服設計手法
衣服の型紙形状は通常の工業製品の設計図にあたる。型紙設計の手法には平面作図法と立体裁断法がある。平面作図は平面上での作図法に従って型紙形状を作成する方法で、衣服を大量生産することには適した手法であるが、個人にフィットする衣服の設計には不向きである。
立体裁断法とその仮想化
キーワード:機械と繊維の新しい関係
機構模型
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)
機関車模型
年代未詳/ボールドウィン社製/フィラデルフィア(米)/真鍮、鉄、木製台座/
H250, W610, D180(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
「Baldwin Locomotive Works Philadelphia, USA Compound Locomotive Cylinder and Valve Gear S.M.Vauclains Patents 4o6o11, 4o6o12, 471836」の金属プレート付。このような模型が近代化の進められた機械学教育に用いられた。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きの機構模型を含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機器が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]