特集 機械と繊維の新しい関係
夢を紡ぎ未来を織りなす機械と繊維
日本機械学会と繊維
Homo faberとしての人間にとって「機械」はシンボリックで重要な存在である。日本機械学会は8月7日(旧暦の七夕の日)を「機械の日」と制定し、学会120周年のスローガンを“夢を形へ紡ぐ”と設定している。さまざまな機械がある中で、「機械の日」や学会のスローガンに織りや紡績などの繊維機械技術を採り上げておられることに不思議な縁を感じている。歴史的にみても機械技術と蒸気機関の発明により成立した産業革命は、綿紡績や織布など繊維工業をその発端としている。またJoseph Marie Jacquard(1752〜1834)が220年前に発明した「ジャカード織機」は複雑な機械であり、コンピュータの原型・発想とも繋がる(1)(図1)。このように機械×繊維、情報×繊維など、日本機械学会と繊維の関係は切っても切れないものがある。
本特集ではマテリアルとしての「繊維」の特徴やその幅広い応用分野について概説し、機械・工学と繊維の多くの接点について紹介することで「繊維」に興味を持って頂く機会になればと考えている。
図1 紋織機と紋紙のパンチング機穿孔機(信州大学繊維学部所蔵)
繊維とは
キーワード:機械と繊維の新しい関係
機構模型
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)
機関車模型
年代未詳/ボールドウィン社製/フィラデルフィア(米)/真鍮、鉄、木製台座/
H250, W610, D180(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
「Baldwin Locomotive Works Philadelphia, USA Compound Locomotive Cylinder and Valve Gear S.M.Vauclains Patents 4o6o11, 4o6o12, 471836」の金属プレート付。このような模型が近代化の進められた機械学教育に用いられた。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きの機構模型を含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機器が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]