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2021/10 Vol.124

表紙

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

回転斜板

年代未詳/フォイト社製/ベルリン(独)/真鍮、鉄、ガラス、木製台座/

H220, W320, D145(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

ハンドルに「GUSTAV VOIGT BERLIN. S. W.」の刻字あり。工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ四九八」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

バックナンバー

エキスパートの知恵と経験

第10回 ホットストリップミルにおける熱間圧延油使用技術の開発

技術開発の経験を語る

はじめに

筆者は昭和47(1972)年住友金属工業(株)に入社し、和歌山製鉄所製板部熱延工場でエンジニアとしての人生をスタートした。同社では鉄鋼部門でホットコイル(熱延鋼板)や特殊管(原子力用燃料被覆管)、歯車の生産および制動用機器の技術開発などに携わったが、本稿では最も若い時代に取り組んだホットストリップミル(熱間の連続式広幅帯鋼圧延機)における熱間圧延油使用技術の話を紹介する。

和歌山製鉄所のホットストリップミル

和歌山製鉄所の熱延工場は住友金属が鋼板の分野に本格的に進出するため昭和37年に操業を開始した。筆者が配属された時は既に10年を経過しており工場長も5代目であった。また、すでに鹿島製鉄所の熱延工場も操業しており、両所のミルが競い合っていた時代である。

昭和47年頃の和歌山製鉄所は高炉が5基体制で粗鋼生産量は約900万トンであった。製鉄所の下工程へ素材を供給する役割を担う熱延工場は、当時ではまだ新鋭の4Hi粗圧延機が1基の80インチ半連続式ミルであるが、4直1組3交代のフル操業で月産約20万トンのホットコイルを生産していた。

筆者は圧延技術の担当として圧延スケジュールの作成や操業技術、ロール管理技術、新設備の導入などに取り組んだが、その中で先輩の前任者から引き継いだのが「熱間圧延油」のテーマであった。筆者が担当した時はすでに設備の導入は済んでいたが、いまだ現場での適用が十分でなく使用の効果もあまり得られていなかった。圧延油をホットストリップミルのような熱間圧延に適用することは当時米国や国内他社でも始まっていたが、いまだ普及はしていなかった。当時の先輩が進取の精神でこの技術を導入したのである。図1に仕上圧延機の外観を示す。なおこの熱延工場は、経営改革のため2005年3月末でミル休止となっている。

図1 (和)ホットストリップミル(S50年頃)

 

熱間圧延油設備の概要

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