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2021/9 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

ハートカム

明治7(1874)年/真鍮、鉄、木製台座/H400, W300, D303(mm)/

東京大学総合研究博物館所蔵

「HEART CAM」の刻記あり。工部大学校を示す「IMPERIAL COLLEGE OF ENGINEERING. TOKEI. 1874」の金属プレート付。工科大学もしくは工学部の備品番号の木札があるが判読不能。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

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エキスパートの知恵と経験

第9回 冷間圧延ロールのスポーリング事故の原因調査・対策から学ぶ

技術開発の経験を語る

はじめに

筆者は、機械構造・部材の破損原因の究明と対策に従事していた。1970年代後半、某製鉄所に納入した冷間圧延用ワークロールの表面が剥離・飛散する事故の原因究明と対策に取り組んだ。本稿では、破損状況の観察、熱衝撃解析、検査の状況、破壊力学的解析および破壊靭性試験、熱衝撃試験により得た事故防止に向けた知見について概説する。

事故状況の観察

当該ロールは深さおよそ30mmの表層部のみを誘導加熱して水焼き入れすることでビッカース硬度Hv750程度の硬化層を付与して耐摩耗性を確保している。事故はこの表面硬化層が突然剥離し、数日間は破片の飛散が続き、人が近寄れない危険なものであった。圧延工場の屋根を突き破る他の事例もあったと聞いている。

図1は事故ロールの外形寸法および剥離部の外観写真を示す。剥離はロール軸方向の長さ約1000mm、円周方向約300mmにわたって生じている。

図1 ロールの表面剥離の状況

剥離の中央部には、円周方向に進行する幅20~40mmの帯状破面が認められ、この帯状のき裂面を底として、その周辺部が剥離・飛散していることが判った。

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