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2021/7 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

角度定規

年代未詳/金属/W652, Dia.137(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

製図道具は近代化の進められた機械学教育に用いられた。本資料の年代や製作場所は未詳であるが、他に「工学寮」「工部省工作所」等の刻記から国内で製作されたことがわかる製図道具類が東京大学総合研究博物館に現存する。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

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特集 機械学習×熱・流体工学の最先端

伝熱マテリアルズ・インフォマティクス

塩見 淳一郎・山脇 柾(東京大学)

はじめに

古くより、材料開発は研究者の直感と経験に基づいて実験的に材料を合成・評価する試行錯誤を中心として進められてきた。近年では、計算機性能の向上により実験パラメータを不要とする第一原理計算に基づくシミュレーションを用いた理論的な材料評価が行われている他、一度に大量の材料を評価するハイスループットな実験も進められており、極めて大量の材料データを得ることが可能となっている。一方で、材料開発の目的は所定の機能を持つ材料を設計することであり、この逆問題に対してはいまだ人間の経験に依る部分が大きく、実験・計算によって得られた大量のデータを十分に活用できているとは言えない。そこで、材料データを情報科学的手法によって取り扱うことで、新たな物理的知見を発見することや、効率的な材料探索を行うことが期待されており、そのような研究分野はマテリアルズ・インフォマティクス(MI)と呼ばれる。

現在では、第一原理計算などによる計算データや文献から取得された実験データを蓄積した様々なデータベース(Material Project、 AFLOW、ICSD、OQMD、AtomWorks-Advなど)が構築されている。誰もが自由に計算・実験データを活用する環境が整えられてきており、実際にデータベースを活用した研究も多数報告されている。また、材料データに機械学習を適用した高速な相図の決定、材料物性の予測、効率的なプロセス制御の研究など、情報科学的なデータ活用も進められている。MIは、材料開発において要求される多様な機能の実現に対して広く活用できる可能性があり、工学的な重要性を持つといえる。

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