特集 デジタルツインでかわるものづくりのこれから
FA-IT統合ソリューションによる工作機械デジタルツインの実現
はじめに
デジタルツインは、アメリカの国防高等研究計画局(DARPA)で提唱され、航空宇宙局(NASA)が将来展望に掲げて以来、航空宇宙以外の分野でも広く認知されるようになった(1)。
デジタルツインの肝は、デジタル(バーチャル/サイバー)空間上に現実と“全く同じ”モノを構築することであるが、現実的には対象とする挙動を検証可能な妥当なスケールと精度で再現することを指す。そのため、「ツイン(双子)」ではなく現実を映した「影」として、「デジタルシャドウ」と呼ばれることもある(2)。
特にものづくり産業では、生産現場で用いられる機械のデジタルツインを活用した生産性向上や故障回避などのソリューションへの期待が高まっているが、現実世界の機械をデジタル世界で再現するためには、機械や加工のモデルの構築が必要であり、また、モデル構築のためには、機械のデータを収集するセンサやネットワーク、ITやIoT(Internet of Things)技術が不可欠である。
e-F@ctoryを活用したFA-IT統合ソリューション
三菱電機(株)では、FA(Factory Automation)向けのネットワークを活用した「e-F@ctory」を提唱してきた。e-F@ctoryは生産現場(FA)、エッジ、ITシステムで構成された生産現場を起点とするFA-IT統合ソリューションであり、生産現場の知見と最先端技術を駆使したものづくり全体の最適化を目指している(図1)。さらに近年ではEdgecrossコンソーシアム(3)と連携し、ユーザ工場のさまざまなFA機器や設備とも繋がって生産性向上に寄与するオープンなソフトウエアプラットフォームを提供している。
キーワード:デジタルツインでかわるものづくりのこれから
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)
四リンク
年代未詳/フォイト社製/ベルリン(独)/真鍮、鉄、木製台座/H270, W300, D90(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
ハンドルに「GUSTAV VOIGT BERLIN. S. W.」の刻字あり。工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ四八九」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]