特集 デジタルツインでかわるものづくりのこれから
デジタルツインの捉え方ー シミュレーションからデジタルツインへ ー
はじめに
デジタル革新技術の一つにデジタルツインが挙げられる。デジタルツインとは、フィジカル空間(現実の世界)の実像とサイバー空間(計算機内の世界)の虚像が“双子”の関係にあることを意味し、現実の世界で生じる現象を計算機内の世界で再現することを指す。これまでのシミュレーションとの違いを見つけるとすると、IoTの登場でリアルタイムに取得できるようになったフィジカル空間の情報の取り扱いである。IoTで取得した情報だけでは不足している部分をシミュレーションの結果で、シミュレーションの結果だけでは不足している部分をIoTで取得した情報でそれぞれ補完して、一体として機能させることにある。また、フィジカル空間で生じる現象を正確に予測できるように、実測データに基づいてシミュレーションのモデルを修正・改善できる点である。
ものづくりにおけるデジタルツイン
工業製品を“より良く”、“より安く”、“タイムリー”に提供してきた“ものづくり”は、高い付加価値を有する工業製品を製造する、あるいは、そのような付加価値を創出する“ことづくり”への転換が必要と言われている。ユーザが求める製品の新しい付加価値を見出すことは非常に難しいが、時代の流行や市場の動向に応える製品を的確に産み出すことが新しい付加価値の創出につながる。製品設計やプロセス設計の精度と効率を飛躍的に改善し、製品開発の競争力を高めていくためには、従来の“ものづくり”を超える新しい手段や方法が求められる。
キーワード:デジタルツインでかわるものづくりのこれから
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)
四リンク
年代未詳/フォイト社製/ベルリン(独)/真鍮、鉄、木製台座/H270, W300, D90(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
ハンドルに「GUSTAV VOIGT BERLIN. S. W.」の刻字あり。工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ四八九」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]