特集 MaaSにより目指す社会とそれを支える次世代モビリティ技術< 電子情報通信学会 合同企画 >
交通不便地域におけるモビリティサービス“Mobility Blend®”
名古屋大学COIによる移動イノベーション研究
名古屋大学は、文部科学省/科学技術振興機構(JST)による産学官連携研究プロジェクトであるCOI(Center of Innovation)に採択され、2013年度から9年間の活動を行っている。この名古屋大学COI(以下、名大COI)「人がつながる“移動”イノベーション拠点」は、「高齢者が元気になるモビリティ社会」をビジョンに掲げ、「人」「車」「社会」の三本柱で研究開発と社会実装を行っている。世界に先駆けて超高齢社会を迎えた我が国の高齢者に、いつでも安心・安全に出かけられる環境を提供し、社会参加を促すことによって健康寿命を延伸するという狙いである。
名大COIで開発する技術には、運転支援装置や歩行トレーニングロボットなどの企業が市場に投入する汎用技術と、自治体や住民と協働で作り上げる地域適合技術の2種類がある。本稿では、名大COIで取り組む地域適合技術の典型である、「モビリティブレンド(登録商標はMobility Blend®)」と「ゆっくり自動運転®」を紹介する。
モビリティブレンド(Mobility Blend®)
高齢化率が高い地域は、中山間地域、農漁村、地方都市、オールドニュータウンなど、概して公共交通の利便性が低く、移動は自家用車に依存している。こうした地域で車の運転ができない高齢者などは、移動のバリアが高く、外出率も低い。名大COIでは、このような公共交通不便地域に住む高齢者などの移動弱者の外出を容易にするために、既存の公共交通手段を補完・補強する「モビリティブレンド(以下、MB)」という概念を構築し、地域適合の実証実験を重ねている。
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)
機構模型:てこクランク往復運動
年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/H270, W365, D180(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ二一七」の木札付。台座裏面に「百四拾九」と墨書あり。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]