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2021/2 Vol.124

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

機構模型:差動歯車

年代未詳/真鍮、鉄、ガラス、木製台座/H310, W245, D235(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ一八五」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]

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エキスパートの知恵と経験

第2回 蒸気タービン用新型軸受の開発を振り返る

技術開発の経験を語る

開発の背景とコンセプト

我が国が高度経済成長に沸いていた当時、電力需要逼迫に対応すべく発電用蒸気タービンの容量は年と共に増大し、タンデムコンパウンド形で単機600MW、クロスコンパウンド形で単機1,000MWが出現する勢いにあった。そのため、確実にトルクを伝達するには当然ロータ軸は太くなる傾向にあるが、この軸径を決定するのはさらに厳しい条件である落雷による発電機端子突発短絡時の高速3相再閉路操作による過渡的な捩り振動の誘起に対する耐力であり、特に高圧段・中圧段・低圧段が一直線状に配置されるタンデムコンパウンド形では、低圧段のロータ軸径は19~22in.(*1)に達しようとしていた。

従来、蒸気タービンに使われているジャーナル軸受としては図1のように、(a)高中圧段に対しては振動安定性に優れるティルティングパッド軸受が、(b)低圧段に対しては負荷容量の大きなスリーブ軸受が採用されて来たが、後者では軸受の円周方向長さが長くなることによるメタル温度の上昇や摩擦損失の増大およびオイルホイップと呼ばれる自励振動に対する裕度が低下することが懸念され、スリーブ軸受に替わる新しい軸受を開発することが急務となった。

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