特集 日本のモノづくり再興Part1 -ポストコロナのモノづくり-
液体ヘリウム不要の超電導マグネットを生み出した機械工学の役割
超電導マグネットにおける新たな価値の創造
液体ヘリウム不要の冷凍機冷却超電導マグネット
超電導現象は1911年に発見され、電気抵抗ゼロで大電流を流すことができる特徴を利用して、広い空間に高磁界を発生させる超電導マグネットが実用化されている。特に1980年代から極低温冷凍機が超電導マグネットの冷却に用いられるようになり、冷却に必要な液体ヘリウムの消費量が減少、中小型の超電導マグネットが産業・医療用に利用されるようになった。現在では、大学などの研究機関向けや医療用のMRI(Magnetic Resonance Imaging)、重粒子線がん治療装置向け回転ガントリー、産業用のシリコン単結晶引き上げ装置向けなどで使用されている。
現在でも多くの超電導マグネットは、超電導コイルの冷却に絶対温度4.2K(-269℃)の液体ヘリウムを使用しなければならない。液体ヘリウムは、その取り扱いに高度な知識と専門技術を要し、価格も高価であるため、超電導マグネットの普及を阻害するひとつの要因となっている。
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第 100号)
機構模型 ねじ
年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/ H270, Dia.130(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
ねじは基本的な機構の一つ。機構模型は近代化の進められた機械学教育に用いられた。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵