特集 日本のモノづくり再興Part1 -ポストコロナのモノづくり-
コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像
はじめに
2019年11月に発生した新型コロナウィルス(COVID-19)感染症は世界的な大流行となり、甚大な影響を人々にもたらした。そして、私たちに感染を予防しながら経済活動を続ける「新しい社会様式」の実現を迫った。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術戦略研究センター(TSC)では、2020年4月にコロナ特別チームを結成し、「今何が起こっているのか」、「コロナ禍後の社会はどうなるか」をテーマにさまざまな分野から発信された情報を整理・分析し、「コロナ禍後の社会に期待されるイノベーション像」についての検討を加え、TSC Foresight短信レポートとして「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」(1)を6月に公表した。
NEDO/TSCは、2020年度に設立7年目を迎えるにあたり、そのミッションを「社会の変化を敏に捉え、将来像を描き、実行性ある提言を行う」と再定義し、このミッションに対応して、これまでの「技術戦略」に加えて、「共通基盤型調査」や「新領域探索調査」についての情報発信を強化し、これらを新たにTSC短信レポートとして発行することにした。本レポートはその第一号である。本レポートはNEDOのホームページで公開しているが、以下では、その概要を紹介する。
コロナ禍後の社会はどうなるのか
コロナ禍がもたらした社会変化について、医療・感染予防、行政、教育・生活、仕事・産業の4つの視点から国内、国外の状況を整理するとともに、国内外の120名あまりの有識者の見解を整理・分析した。これらのことから予想されるコロナ禍後の社会変化は、以下の6つに大別される(図1)。
(1)デジタルシフト
工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第 100号)
機構模型 ねじ
年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/ H270, Dia.130(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
ねじは基本的な機構の一つ。機構模型は近代化の進められた機械学教育に用いられた。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。
上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵