やさしい熱力学
第12回 熱機関のサイクル
1. はじめに
本稿では,熱機関の理論サイクルをエクセルギーの観点で考察することで,エネルギー資源を効率的に利用するための考え方を理解する。
2. 熱機関のサイクル
車や発電機など様々な熱機関について検討するとき,そのサイクルを理想化し単純化した理論サイクルを用いることが多い。一例として,オットーサイクルの$p$-$V$線図を図12.1に示す。図中の数字は状態を表している。オットーサイクルは,理想気体を作動物質とするガスサイクルであり,ガソリンエンジン(火花点火エンジン)の理論サイクルとして知られている。状態1→2は断熱圧縮,状態2→3は等積加熱,状態3→4は断熱膨張,状態4→1は等積冷却である。
キーワード:やさしい熱力学
表紙の説明:これは、推力5tonターボファンエンジンFJR710形で、右からファン、圧縮機、燃焼器のケーシング部分である。1975年に通商産業省工業技術院の大型工業技術研究開発制度によって開発された。ブラッシュアップしたエンジンは、短距離離着陸ジェット機(STOL)飛鳥に4基搭載され500mで離着陸できた。
[日本工業大学工業技術博物館]