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2020/12 Vol.123

表紙の説明:これは、推力5tonターボファンエンジンFJR710形で、右からファン、圧縮機、燃焼器のケーシング部分である。1975年に通商産業省工業技術院の大型工業技術研究開発制度によって開発された。ブラッシュアップしたエンジンは、短距離離着陸ジェット機(STOL)飛鳥に4基搭載され500mで離着陸できた。
[日本工業大学工業技術博物館]

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2020年度「学会横断テーマ」

③機械・インフラの保守・保全と信頼性強化

テーマのスコープ

インフラ構造物、大型プラント、交通・機械システムなどの予防保全は、安全安心な社会を維持するための基本である。しかし、その実施には莫大な費用と人手を要し、維持・管理手段の抜本的な技術革新が喫緊の社会的課題となっている。この課題については、国内でもいくつかの取組み(省庁や政府のプロジェクト、学協会での支援活動)がなされているが、本横断テーマでは機械学会の強みを最大限活かし、機械学会だからできること、機械学会にしかできないことを意識した取組みを立案、実施する。この活動を通じて部門連携を促すことで本会の活性化を推進するとともに社会貢献を果たしていく。

活動の狙い

本テーマでは実社会ニーズに応えるべく、本会が有する多彩な人的・学術的リソースを再発掘し、それらの融合を促すことで、喫緊の社会的課題に対応可能な新たな学会シーズの創成を目指す。この一連のプロセスでは、異なる専門領域の研究者・技術者の交流が不可欠であるため、自ずと部門連携が促進されることを期待する。異分野融合を促すことで産業界や他学協会との連携強化にも繋がると考えられる。
本会は、横断的総合技術に関する議論と情報交換の場を産官学に提供できることから、幅広い社会ニーズとそれに応える学術シーズを柔軟かつ効果的に結び付ける新たなハブとなり得る可能性を秘めている。本テーマ活動の波及効果として、技術革新を創出するための交流拠点すなわちオープンイノベーションハブとしての機能が本会に根付くことを期待する。

活動イメージ

まず、各業界・実社会のニーズ(現状の問題、克服すべき課題)を洗い出すとともに、本会の技術シーズを部門横断的に発掘する。次いで、部門/産業界/他学協会との新たな相互連携の下、現場ニーズと技術シーズの的確なマッチングを実現させ、課題解決に向けた方策を多角的に検討し、2023年以降の展開に繋げる。

当⾯の⽬標

この企画チームは2019年度年次大会の理事会企画において、機械・インフラの健全性評価に関して、産業界が直面する課題と方策、さらに新技術の適用について討論し、実社会が抱える問題の一端を確認した。しかし、「機械・インフラの保守・保全、信頼性強化」というテーマは裾野が広いため、今回の活動を進めるにあたりスコープを絞り込むことが効果的と考える。そこで、2021年度年次大会では、機械・インフラ関連のいくつかの業界・分野からパネリストを招いて総合討論を実施し、保守・保全・健全性評価のいずれかの観点から、各業界の現状と克服すべき喫緊課題を再確認するとともに、実社会の要望を洗い出す。さらに、そのようなニーズに対して機械学会が提供できる技術シーズについて部門横断的に深堀りする。実社会のニーズとJSMEの強みを活かしたシーズとのマッチングに基づく具体的な展開(部門連携、産学連携、学協会連携)については、2022年度の横断テーマ企画において継続的に議論を深める予定である。

皆様へのお願い

上記目標の実現は各部門の支援なくして成し得ないことは明白です。「機械・インフラの保守・保全、信頼性強化」という視点で各部門に潜在するシーズを再確認していただくために、2021年度の部門講演会において当該テーマに関わるOS等を企画・実施していただきたいと考えます。それを踏まえて2022年度に実施予定の学会横断テーマ企画行事(詳細は未定)にご参画いただき、議論の深化にご協力賜りますよう切にお願い申し上げる次第です。


テーマリーダー
<フェロー>
井原 郁夫
◎長岡技術科学大学 大学院工学研究科 機械創造工学専攻 教授
◎機械工学をベースとした材料評価・非破壊センシング

 

 

 

企画チームメンバーと所属部門/関連学協会:
井上 裕嗣(東京工業大学):材料力学部門、梶原 逸朗(北海道大学):機械力学・計測制御部門、笠井 尚哉(横浜国立大学):産業・化学機械と安全部門、藤原 浩幸(防衛大学校):機械状態監視資格認証事業委員長/ロボティクス・メカトロニクス部門、有坂 寿洋(日立アカデミー):情報・知能・精密機器部門、冨澤 泰(東芝):情報・知能・精密機器部門、三原 毅(東北大学):日本非破壊検査協会、塩谷 智基(京都大学):土木学会

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