特集 スポーツ×ICT
体操採点システム
はじめに
デジタルな採点支援の時代の幕開け
2019年10月にシュトゥットガルト(ドイツ)で開催された第49回体操世界選手権において、国際体操連盟(FIG: Fédération Internationale de Gymnastique)は体操採点システムを正式に使用を開始した(1)。
体操競技は男子6種目(ゆか、鞍馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒)、女子4種目(ゆか、跳馬、平均台、段違い平行棒)のそれぞれの演技に対して、技の難度を示すD (Difficulty)スコア、演技の出来映えを評価するE(Execution)スコア、および、演技領域からの逸脱や時間超過などによる減点の合計を競う採点競技である(図1)(2)(3)。
一方、審判資格を認定された審判員は経験を積み高度な識別ができるが目視による判断のため、採点規則で表現されている角度や長さや高さを厳密に瞬時に識別することは現実的に困難である。
他方、体操競技は採点結果に基づき0.1点を争う競技であり、正確で公平であることが求められる。コーチからのインクワイリー(問い合わせ)に対して上級審判団による再査定を行うことも現場では行われているが、ビデオによる再査定はビデオの画角が固定されていることから時には非常に難題となっている。
こうした課題を克服するために、本システムでは3Dセンシング技術により出力される18関節の3D座標位置を利用し関節のまがり角度や器具や体の部位との距離を定義し、採点規則をデジタル化することによって公平で正確な採点をサポートしている。
図1 体操採点の構成
採点支援システム概要
3Dセンシング・技認識技術による体操採点支援システムのイメージを図2に示す。
キーワード:スポーツ×ICT
表紙の説明:「これは、1930年代にドイツのファウター社で製造されたホブ盤のテーブルとワークアーバ部分である。穴加工済みの工作物を、テーブルの中心になるようにワークアーバに取付けて固定し、工具(ホブカッタ)と工作物の相対運動により歯形形状を創成しながら加工して歯車を作る。」
[日本工業大学工業技術博物館]
表紙写真 北原 一宏