特集 人間を拡張する機械
産総研人間拡張センターの取り組み
はじめに
2018年11月に、国立研究開発法人産業技術総合研究所に新しい研究組織として「人間拡張研究センター」が設立された。ここでは、「人に寄り添い、人を高める技術」を開発するとともに、その技術に基づく新サービス産業の社会実証研究を行う。当該研究センターは東京大学柏IIキャンパス内の新棟に設置され、東京大学と連携した研究開発と、地元柏の葉地区と連携した社会実証を両輪として活動を始めた。「人間」を対象とする研究者を中心に、フレキシブルセンサデバイス、ロボティクス、バイオメカニクス、VR、生理・心理学から、サービス工学、デザイン学まで30余名の常勤研究職員が結集し、センサからサービスデザインまで一貫した研究を推進している(図1)。我々が目指す人間拡張システムは、使用によって人の能力を一時的に拡張するシステムのみならず、継続的に使用することで人本来の能力も維持増進できるようなシステムである。人がシステムに依存して生活するのではなく、システムを活用し自分自身を高めていく(システムも共に高まっていく)ことを指向している。
キーワード:人間を拡張する機械
表紙の説明:これは、出力10万kWレヒートガスタービンの高圧圧縮機部分である。1978年から10年間、通商産業省工業技術院のムーンライト計画(省エネルギー技術研究開発)の中で開発されたもので、全長21mある。東京電力袖ケ浦発電所に設置して運転研究の結果、総合熱効率52%を得た。
[日本工業大学工業技術博物館]
表紙写真 北原 一宏