日本機械学会サイト

目次に戻る

2020/6 Vol.123

表紙の説明:これは、出力10万kWレヒートガスタービンの高圧圧縮機部分である。1978年から10年間、通商産業省工業技術院のムーンライト計画(省エネルギー技術研究開発)の中で開発されたもので、全長21mある。東京電力袖ケ浦発電所に設置して運転研究の結果、総合熱効率52%を得た。
[日本工業大学工業技術博物館]

表紙写真 北原 一宏

バックナンバー

特集 人間を拡張する機械

社会性の機能拡張を支援するソーシャルイメージング

鈴木 健嗣(筑波大学)

社会性と人間拡張

人間拡張技術による社会性の機能拡張

複数人が集まると社会ができる。社会性は、表情がわかる・目を見て話す・相手の気持ちを察する・他人と協力して活動する・何をしたいのか伝える・自分の欲求を抑えて調整するといった、知性や運動機能と並び、人々が他者とともに生きていくための重要な特性である。

実世界の環境において周囲の物体や人々との積極的な相互作用を可能にしながら、人の身体を変容することで周囲環境や他者に対する自己の認識、行動、相互作用を変化させたりする研究が盛んに行われている。これらは失われた感覚を補うだけでなく、その感覚を拡張させることを可能とする人間拡張技術(1)である。代表的な例として、人の意思と機械とを直接つなぎ相互に作用させるシステムの実現を目指すブレイン・マシン・インタフェース(BMI)を用いて身体を拡張させる研究があるが、これは主に米国が主導する形で進められている(2)。一方、ウェアラブル技術やバーチャルリアリティ技術の進歩により、人間の身体的な体験は、空間と時間の限界を超えて共有され変容してきている。特に医学、デザインおよび教育の分野においては、他者および自身の身体的かつ社会的な体験の理解は、個人的な体験に対する知識や共感を得る上で重要な役割を果たす。また、自身の分身を遠隔地に存在させるアンドロイド型ロボット(3)や遠隔操縦、テレプレゼンス型ロボット、他者の視覚野に没入し、その状況や体験を共有したり共同作業を行う視覚化技法など(4)は、人が他者と相互作用することを支援したり、他者を理解するというように、個々の拡張というより、他者との相互作用を拡張するといった、人の社会性機能を拡張する試みであるといえる。

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: