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2020/6 Vol.123

表紙の説明:これは、出力10万kWレヒートガスタービンの高圧圧縮機部分である。1978年から10年間、通商産業省工業技術院のムーンライト計画(省エネルギー技術研究開発)の中で開発されたもので、全長21mある。東京電力袖ケ浦発電所に設置して運転研究の結果、総合熱効率52%を得た。
[日本工業大学工業技術博物館]

表紙写真 北原 一宏

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特集 人間を拡張する機械

人間拡張のための画像処理、深層学習、ソフトロボティックス技術の応用

小池 英樹(東京工業大学)・高橋 宣裕(電気通信大学)

はじめに

計算機技術、人工知能技術、ロボット技術などが高度に融合された未来社会において、人間拡張(Human Augmentation)が重要なテーマと位置づけられている。筆者らは科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST「共生インタラクション」(間瀬健二PM)の平成29年度採択プロジェクト「技能獲得メカニズムの原理解明および獲得支援システムへの展開」を推進している(1)。本プロジェクトの目的は、高度画像処理技術、拡張現実感技術、ロボティックス技術、人工知能技術を用いて、 高度な技能を人から獲得(copy)し、人に伝承(paste)する技能獲得支援システムの技術基盤を開発することである。これまで技能伝承が困難だったのは、技能者および学習者の自由で自然な動きを妨げることなく、視線、身体動作、環境を計測し、かつ教示データを効果的な手法で実時間提示できなかったからである。以上の問題を解決するために、さまざまな研究開発が行われているが、本稿ではこれらの中から、(1)胸装着型超魚眼カメラによる身体・頭部の3次元姿勢推定、(2)深層学習を用いた人の未来の姿勢予測、(3)細径人工筋肉を用いた力覚フィードバックグローブについて紹介する。

MonoEye:胸装着型超魚眼カメラによる身体・頭部の3次元姿勢推定

人間の動作を支援するためには、その動作を正確に把握する必要がある。従来、こうした動作計測は光学式あるいは慣性センサ式モーションキャプチャシステムを用いて行われることが多かった。しかし、光学式モーションキャプチャは、物理的に限られた空間内に設置された複数台の同期したカメラを使用する。動作計測はこの限られた空間内に限定されるため、例えばサッカーやスキーのように屋外の広範囲を移動する動作計測に不適である。慣性式モーションキャプチャは、20個程度の慣性センサを身体の各部に付けるが、装着の手間がかかること、金属や磁場の影響を受けやすいこと、ドリフトなどの問題点がある。

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