やさしい熱力学
第5回 理想気体の状態変化
理想気体の状態変化
1. はじめに
本稿では,理想気体の状態変化について理解する。状態変化の基本的な考え方をまとめたうえで,代表的ないくつかの状態変化について,状態量の変化量や熱・仕事の移動量の計算方法を解説する。
2. 状態変化
作動物質がある状態から別の状態に変わるとき,その変化を状態変化という。中でも,圧力一定で行われる等圧変化,体積一定で行われる等積変化,温度一定で行われる等温変化,熱の出入りのない可逆断熱変化などは,熱力学でよく用いられる代表的な状態変化である。図5.1は,$p$-$V$線図上にこれらの状態変化を表したものである。太線は,作動物質がこの線上の状態(圧力と体積)を経ながら状態変化することを表しており,これを状態変化の経路という。
キーワード:やさしい熱力学
表紙の説明:これは、1931年に米国のブラットフォード社で製造されたベルト掛け段車式普通旋盤の親ねじ(上)と送り軸(下)部分である。親ねじの根元には、ねじを切るときの指針となる手作りの薄鋼板製星形ダイヤルが付けられており、親ねじもしくは連動する歯車と噛み合わせて使う。
[日本工業大学工業技術博物館]
表紙写真 北原 一宏