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2020/4 Vol.123

表紙の説明:
1972年スイスのベヒラー社製の主軸台移動形棒材作業用単軸自動旋盤の刃物台部分である。カム機構により放射状に配置された5種の刃物が、半径方向に順次動く。刃物を軸方向に送る代わりに、工作物を中央のガイドブッシュから送り出しながら加工するため、工作物のオーバーハングが無く、高精度な加工ができる。

表紙写真 北原 一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館

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特集 複数性能を扱う最適化設計技術

機械設計における機械学習の可能性-流体機械への適用-

米倉 一男〔東京大学・(株)IHI〕

はじめに

この10年ほど、いわゆる人工知能や機械学習の話題がメディアを賑わせている。深層学習以前の機械学習(便宜上、“古典的な”機械学習と呼ぶ)では困難とされていたタスクが、深層学習を使うことでブレークスルーを果たした例が増えている。例えばAIブームの火付け役になった一般画像認識や、囲碁棋士に勝ったAlphaGoなどが挙げられる。

実は最適設計の分野でも機械学習に関連する技術は古くから使われてきた。のちに述べる応答曲面法を使った回帰モデルや、主成分分析による設計データの分析などがこれに当たる。これらの古典的な機械学習手法を深層学習に置き換えることで、より好ましい結果が得られる場合があることが分かってきた。本稿では、そのような例を三例取り上げて紹介する。一例目では設計パラメータから性能を予測する回帰モデルの作成において深層学習を用いる。二例目では指定した性能を満たす形状を生成するために深層学習を用いた生成モデルを使用する。三例目では流れ場の情報に基づいてパラメータを最適化するタスクに対して、深層強化学習を用いる。これらの例はいずれも古典的な機械学習手法よりも精度が向上したり、それまで困難だったことができるようになったことを示す例である。しかし機械学習では一般的に使用するデータの性質によって得られる結果が異なり、古典的な機械学習の方が勝る場合も多々ある。本稿で紹介する手法がどのような対象に対して適するか、今後より深く検討される必要がある。

回帰モデルを用いた性能予測

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