特集 複数性能を扱う最適化設計技術
超精密工作機械への構造最適化実施事例
はじめに
工作機械の外観は化粧カバーで体裁を整えているが、本体構造は四角いブロックを組み合わせたような形状が多く、美しいと感じるものは稀有である。それに引き替え、建築物などには昔も今も誰もが美しいと感じるものが多く、サグラダ・ファミリアや錦帯橋、東京タワーなどは良い事例である。それらは力学的な理に適った曲線を利用した形状を持ち、構造的に最適化されているからに他ならない。
今回、最新鋭超精密マシンの開発に際し従来の慣例にとらわれることなく理想的な構造を追求し、トポロジーや形状最適化の手法も織り交ぜながら、全く新しい構造にチャレンジした。その結果、圧倒的な強度を確保した上で無駄をそぎ落とした構造設計が可能になり、動的精度などを大幅に改善することができた。
機械強度アップに比重を置いた超精密小形平面成形研削盤の開発事例と、小型軽量化に比重を置いた超精密門型平面研削盤の開発事例を以下に紹介する。
超精密小形平面成形研削盤SGi-520αの開発
キーワード:複数性能を扱う最適化設計技術
表紙の説明:
1972年スイスのベヒラー社製の主軸台移動形棒材作業用単軸自動旋盤の刃物台部分である。カム機構により放射状に配置された5種の刃物が、半径方向に順次動く。刃物を軸方向に送る代わりに、工作物を中央のガイドブッシュから送り出しながら加工するため、工作物のオーバーハングが無く、高精度な加工ができる。
表紙写真 北原 一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館