特集 複数性能を扱う最適化設計技術
多目的進化アルゴリズムの最前線
はじめに
「進化アルゴリズム」という言葉は、設計最適化に興味を持っている方なら一度は耳にしたことがあろう。「遺伝的アルゴリズム」「進化計算」などほかにも似たような用語がある。はじめにこれらの用語を整理したい(図1)。
図1 メタヒューリスティクス系の最適化アルゴリズムの分類
「メタヒューリスティクス」とは、解きたい問題に依存しない汎用性の高い最適化アルゴリズムのことである。進化計算や近傍探査法などさまざまな最適化手法が含まれる。「進化計算」はメタヒューリスティクスの1種である。「進化」という言葉がついているため誤解を招きやすいが、必ずしも生物の進化を模倣したアルゴリズムというわけではない。進化アルゴリズム、微分進化、粒子群最適化、蟻コロニー最適化などたくさんの手法がある。進化計算の定義は難しく、こうと言い切ることは難しいが、(1)ランダム探査を用い、(2)過去の情報をもとに効率的に反復探査をする最適化アルゴリズムと考えればよいかと思う。
キーワード:複数性能を扱う最適化設計技術
表紙の説明:
1972年スイスのベヒラー社製の主軸台移動形棒材作業用単軸自動旋盤の刃物台部分である。カム機構により放射状に配置された5種の刃物が、半径方向に順次動く。刃物を軸方向に送る代わりに、工作物を中央のガイドブッシュから送り出しながら加工するため、工作物のオーバーハングが無く、高精度な加工ができる。
表紙写真 北原 一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館