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2020/3 Vol.123

表紙の説明:1931 年に米国のブラットフォード社で製造されたベルト掛け段車式普通旋盤の主軸台の換え歯 車装置部分である。当時は、段車の 付いた主軸端に小歯車を装着し、1、2段減速し、その都度、換え歯車表 を見て歯車を掛け替えて、送り速度 やねじのピッチを換え作業した。

表紙写真 北原一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館

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特集 再生可能エネルギーがもたらす機械の電動化

化石エネルギーの燃焼・熱機関から再生可能エネルギーによる水素・電力生産体系へ:電動化と二次電池・燃料電池

堤 敦司(東京大学)

化石エネルギー→燃焼・熱機関→動力・電力生産という200年以上続いたエネルギー生産・利用体系が、再生可能エネルギー→(水素)→電力という体系に転換しつつある。本特集では、エネルギーの生産と利用体系全体を俯瞰し、このエネルギー技術のパラダイムシフトともいうべき背景と意味を考え、水素エネルギー、二次電池、燃料電池など基幹技術と二次電池の応用による機械の電動化について紹介する。

はじめに

温暖化対策としてCO2排出量を大幅に削減するために、2040年ごろまでに全発電量に対して再生可能エネルギーの割合を40%まで高めることが検討されている。不安定電源である太陽光や風力発電を、火力発電を中心とした既存の電力系統に大規模に導入するためには、二次電池による電力貯蔵や水電解・水素製造とエネルギーキャリアによるエネルギー輸送・貯蔵などが必要となる。また、この再生可能エネルギー電力を利用する電気自動車(EV)の導入促進など、自動車の電動化率を100%まで高める政策が進められている。最終的には、化石エネルギーを一切利用せずに、再生可能エネルギーのみを利用する社会を構築するしかなく、再生可能エネルギーのポテンシャルを考えると、エネルギー消費量そのものを1/10にし、CO2排出量をゼロにすることを真剣に検討する必要がある。すなわち、化石エネルギー→燃焼・熱機関→動力・電力生産という従来のエネルギー生産・利用体系から、再生可能エネルギー→(水素)→電力という水素を核としたエネルギー体系に大転換せざるを得ないのである。

なぜ膨大なエネルギーを消費しているのか?

まずはじめに、エネルギーは保存されて決して減らないにもかかわらず、今日、我々は膨大なエネルギーを「消費」し続けているのはなぜか考えてみよう。

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