特集 機械・インフラの健全性評価の現状と展開
インフラのライフサイクル策定への今後の課題
インフラライフサイクル策定の課題
インフラの劣化による甚大な事故が契機となり、5年毎の近接目視が道路法として施工され、一巡を終えた。その結果、橋梁では41%、トンネルに至っては2%のみが健全だったという厳しい結果を得た。これらの結果から、橋梁6割、トンネルではほとんどが何らかの措置、つまり、補修を実施し延命化を図る段階にある、という状況が推察できる。
図1 性能の経年変化と補修による回復期待概念
図1は補修による性能の回復期待の概念図である。補修では、このような性能回復期待があって、長期的なライフサイクルが策定されている。ここで、二つの事項が懸念される。1)性能は建設竣工時100%とされるが、本当に100%であったのか、つまり、初期の品質は設計通り確保されていたのか、2)補修により性能は意図したとおり回復したのか、この2点である。
キーワード:機械・インフラの健全性評価の現状と展開
表紙写真 北原一宏
撮影地協力 日本工業大学 工業技術博物館
表紙の説明: これは、1955年頃まで町工場で使われていたベルト掛け段車式の普通旋盤用の換え歯車である。今は電動機が付いた全歯車式であり、レバーやダイアルを操作するだけで簡単に送り速度やねじのピッチを換えることができるが、当時は表を見て、その都度、歯車を付け替える必要があった。