感性認知工学の可能性
感性認知工学の新潮流
色の知覚の多様性
哲学者ルネ・デカルト(René Descartes, 1596-1650)は、著書「方法序説」(「理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の序説。加えて、その方法の試みである屈折光学、気象学、幾何学。」)の中で、虹は太陽の白い光が空気中にある細かな水滴の中で屈折して生じる現象であること明らかにしている。色のついた光を集めれば、白い光になることを示唆している。アイザック・ニュートン(Sir Isaac Newton, 1642-1727)は、プリズム、凸レンズ、スリットを組み合わせ、「太陽の白色光は、ガラスのプリズムによって、虹のように多くの光に分解できる」と示している。光が人に色の感覚をもたらすことを示唆している。物理学者トマス・ヤング(Thomas Young, 1773-1829)は、「光の三原色」を提唱し、生理学者・物理学者ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ(Hermann Ludwig Ferdinand von Helmholtz, 1821-1894)は、「光の三原色」を発展させてとともに、人が色を認識することを明らかにしている。色覚に赤(R)、緑(G)、青(B)の3要素があり、これらが同じ割合で刺激されると白色を感じる。色別は3要素の刺激の比率に応じて生じる。その後、網膜の色覚受容器である錐状体に、赤、緑、青に最もよく反応する3種が区別された。人などのように3種類の色覚受容体をもつ生物の色覚は三色型色覚(trichromacy)と呼ばれ、光刺激を3種類の錐体で知覚し3次元の感覚情報として処理して、すべての光の色を三つの原色の混合比として認識する。色覚受容体の種類の数が違う生物は、異なる数の原色によって色を感じており、四色型色覚(tetrachromacy)を持つ生物には4種類の色覚受容体があり、四原色の組み合わせで色を認識している。人は、波長800nm(赤)から400nm(紫)まで感知することができ、四色型色覚の生物は波長300nmから330nmの紫外線まで感知することができる。鳥類や爬虫類の多くは四色型色覚を持つが、人でも四色型色覚を持つ人がいる。また、人の色覚受容体が反応する波長は、それぞれの人で多様である。
キーワード:感性認知工学の可能性
【表紙の絵】
外来種を捕まえるロボット
髙島 史堅 くん(当時6歳)
池や湖の外来種を捕まえ、
在来種を守るロボット